■京都酷道477号線(2005/06/07 Tuesday)
国道477号線とは、三重県四日市市から兵庫県川西市までを結ぶ一般国道である。
実はこの国道、上記の両市間には有料道路と元有料道路が複数存在しているという、なんとも金食い虫の国道なのである。
有料道路は琵琶湖大橋と国道367との重複『途中トンネル』の2つ、元有料道路は鈴鹿山脈を越える鈴鹿スカイラインがそれである。

しかしこの国道に秘めたる真の姿はそれだけではない。
そう、上記の有料道路とは天と地ほどの差がある『酷道』区間が京都市内にあるのである。

有料道路有り・酷道区間有りという、あまりにも正反対の質を持っている…それがR477の特徴である。
京都市=政令指定都市ということを頭に入れてもらえると、よりこの酷道ぶりが実感できることだろうと思う。
route
滋賀県 1道の駅-びわ湖大橋米プラザ-(R477) 2大津市(R477-R367) 3途中トンネル-途中越-(R367)
京都府 4左京区(R367-R477) 5前ヶ畑峠(R477) 6百井峠(R477) 7花脊峠(R477) 8京北町(R477-r361-芹生峠)
      9左京区(r361-r38-r40-r30山中越)
滋賀県 10大津市(r30-田の谷峠-R161-R477) 11道の駅-びわ湖大橋米プラザ-(R477)
走行距離89.89KM
最高速度63.5km/h
所要時間3時44分51秒
comment
さて、スタート地点は道の駅・びわ湖大橋米プラザ。大津市R477琵琶湖大橋の手前にある。
珍しいかどうか判らないが、この道の駅内に国道を示すおにぎり看板が立てられている。個人的にちょっと意外な光景であった。

1:R367途中トンネルの旧道。
 途中トンネルは何故か有料なので、
 旧道にも関わらずに交通量が甚だしい。
 なんとも皮肉な現状である。
2:右上にあるのが途中トンネル料金所。
 しかし前述の通り、旧道を行く車の方が
 多い。

3:滋賀県大津市と京都府左京区の県境である途中越。
 レイジのオーバーヘッドハイウェイのような感じ。
 コンクリート質感が絶妙である。

写真1・2は、途中トンネルのすぐ横を通る旧道。さすがに幅員は細いが、交通量が桁外れに多い。特にトラック関連が際立つ。
わざわざ料金払っていくのが嫌なのであろう、業者の方々は。
なお、旧道といっても距離は新道とほぼ変わらない。
幅員が細いといってもまだ快適だし、一方通行の二股路もあるため、特別走りにくい道とは言い難い。
いよいよ以って有料トンネルの存在意義が問われる。まあせいぜい150円だしさすがに有料道だけあって快適ではあるが…

で、写真3は滋賀県・京都府の県境にある『途中越』。ここは有料ではない。

4:R477。
 早くも怪しい感じが漂ってくる。

5:大原といえば三千院が有名。
 しかし歴史の由緒を感じることよりも
 酷道を走るほうが悟りを開ける私である。
6:快適2車線路もここでおしまい。
 やはりそう簡単にはいきませんか。
 ここから鬼のような激坂が待っている。
途中越を越え、2kmほど下るとR477の分岐が現れる。
しかしそこにあったのは小さい477の文字だけ。確かに無いよりはマシだが、青看ぐらい用意できないものか?
R477の交通量の低さはこういったところが要因となっているのかもしれない。明らかに私道と遜色ない貧弱路なんだから、R477は。

少し進むと『通行規制区間 起点』の青看(連続降水量〇〇mm以上で通行止め…てヤツ)が現れる。
ここから本格的な酷道が始まるという予告看板である。

7:最近整備されたようである。しかし勾配は…右写真参照。
 生えている木と比べてみれ。自転車は果たしてインから登れるのか?この光景は暗峠を思い出す。
写真6からある程度進むと、急に路面がきれいに整備された道路へと出る。
これでは酷道とは言い難いが、勾配は酷道レベルといえる。このキレイ激坂道は結構距離が長かった。

8:これではあまり分からないが、奥に伸びている道の勾配はなんと20%。
 延々と8km台の時速で登る。やれやれ。
9:前ヶ畑峠。
キレイ激坂道が終わるとまた貧弱な路面へと変貌し、また激坂が立ちはだかる(写真8)。
この一帯は強烈な坂が何度も繰り返し、今回の走行で一番厳しい難所となった。

そしてやっと前ヶ畑峠へと到着。展望はゼロだが、涼しかった。

10:これが国道に見えますか?
 横に立っている民家がさらに
 国道の雰囲気をかき消している。
11:自転車をぶっ倒し、その細さを証明。
 この自転車の全長は170cm。
 ギリギリ2Mあるかないかの激細である。
12:神秘的なウッディーロードをひた走る。
 車の離合は難しそうだが、
 両脇のダートスペースを用いれば可能。
前ヶ畑峠から下りきったところで、T字路交差点(田舎畑の分岐みたいな感じ)がある。さあ、青看もない。どうするか?
と、心の中で焦りはじめていたら、T字路中央に『←R477はこちらです』…という手書きの看板があることに気がついた。
もうここまでのレベルになると、どんなボロ表示でも救われるのである
そしてその先には、看板の信用を失う究極の酷道が在るのだった(写真10)。
果たしてあの看板は真実を指していたのだろうか…?と、疑問に思うが、これが本当にR477なのである。
正しく集落のあぜ道。このような道が1kmほど続く。(途中でいくつか離合ポイントがあるため、すれ違いは可能)

あぜ道を突破すると、またしても『通行規制区間』を警告する青看が現れる。
それまであった民家もなくなり、また山道へと入り込んでゆく。酷道の雰囲気が濃厚である。

写真12はある程度進んだところ。ここまでは4〜6%の緩やかな登りであったが、この先から10%級の上り坂が続く。

13:これは百井峠。標高は738m。
14:これが国道に見えますか?パート2。
 この路面形状は大阪府道63蔵王峠に匹敵する
10%級の坂を登ると、やっと標高783mの百井峠へと到達。峠証明の看板はいっさい無い。この辺りの哀れさが酷道を非情に物語る。

さてここから思いっきり下っていくのだが、その形状が本当に酷いもので、小石・窪み有りの自転車泣かせガタガタ道であった。

そして究極は写真14。3回目になるがこれが国道に見えますか?
何の前触れも無くこの形状に様変わりするため、2輪車などは本当に注意すべし。しかも勾配は16%ほどという激坂ぶり。
(私も、高スピードでうかつに入ってしまったため、もう少しで前面転倒するところでした(^^;;;)

しっかしまあ、“凹凸有り”やら“段差有り”の看板の一つや二つぐらい立てられないもんか?
いくらクソ道でも国道は国道なんだから。国道としての義務はどこへやら。


しかし、そんな文句タラタラな思いも“次の交差点”に到着すると跡形もなく吹き飛んでしまう。R477名物…『百井別れ』がそれである。

15:激道を走りぬいた者にとって、この青看は光り輝く道標に見えてしまう。
 支柱が所々錆びてるのにそう見えるのは、酷道が成せるマジックといえる。
 なお、右上に傾いて見えるガードレールはR477。
 この形状を見て、何かおかしいとは思いませんか?
16:『百井別れ』。名前からして怪しいが。

 国道477号はどれでしょうか?
 正解はこちら参照。ひどいねこりゃ。
鬼のようなガタガタ道を突破すると、すぐに写真15のような青看が現れる。ここが、『百井別れ』と呼ばれる交差点である。

この看板だけ見たら何の変哲もない交差点に感じてしまうだろうが…実は、違う
R477京北町方面への右折があまりにも鋭角なのである。

それは何故か?………写真16をみれば分かるであろう。
右の奥に伸びている道と左上の道がR477。右が来た道(大原)で、左上が京北町方面。
そう、R477は180度ターンのカーブということになる。
果たして乗用車は切り返し無しで曲がりきれるだろうか?徹底的なアウトインアウトでも難しいだろう。


さて、左へ下りてゆくのは府道38である。
なんだか府道が本線で、府道のお陰で国道が広くなれた…という感じがする

それを手厚く証明するのが交通量。いままで皆無に近かった交通量が、この交差点にくると一気に増加したのである。
しかも、今まで全く鉢合わせのなかった2輪も出没し始め、挙句の果てには原チャリ2台が鞍馬方面へと走り去るほどであった。
その殆どが大原方面のR477を素通り。
まあ間違いなく、京北町方面から訪れた人はこの国道の存在に気づかずに、r38へと逝ってしまわれることでしょう。
路肩の白線が消えかけであるが続いているという要因も忘れてはならない。


国道の哀れな扱われぶりについ笑ってしまった。こんなことがあっていいんでしょうか?

17:花脊峠。
 左上の古い木製看板には、
 花背別所町という地名が書かれている。
18:ここでR477とはお別れである。
 左折しr361を通って貴船方面へ。
 看板ではヘキサ表示なし。
19:ここでヘキサ登場。
 3桁府道なのに路面はR477よりも優れている。
衝撃的なR477Uターンを越えるとまた上り坂が続く。勾配的には8〜10%といった程度でなかなか厳しい。

写真17は花脊峠。『脊』という感じは背の古式漢字である。木製看板で地名を表明している辺りに古のロマンを感じる。
しかしまあ、政令指定都市とは思えない山中である。

なお、車に乗り込んでいる人がいますが、右側にある案内地図(この写真では写っていない)をしきりに見て走り去っていきましたが、
そのあと2・3度ほど停車していました。道に迷った感が濃厚である。

さて、峠から緩やかに下っていく。途中で京北町のカントリーサインを通過し、左京区とはお別れ。て、今まで京都市を走ってたんですな。(^^;)
京北町に入るとすぐにr361-上黒田貴船線-の交差点がある。r361に変更し、貴船方面へと南下する。

20:道幅は細いが、はっきり言って
 R477のあの鬼区間より数倍走りやすい。
 これが快適に思えるんだから、
 如何にR477が悲惨だったかが
 分かってもらえるはず。
21:この日4つ目となる峠、芹生峠。
 京北町と京都市左京区の境目。
 標高は700mと、なかなか高い。
 ここから地獄のダウンヒルが始まる。

実はこのr361。京北町側は割と走りやすい道だった。路面もキレイで、勾配も(所々きつかったが)緩く、実に快適であった。
勾配が緩い…という事はその分距離が増えるということであるが、激坂で一気に登るというほうが疲れるので、
こういった軽快な上り坂は実に気分がいいってもの。で、R477分岐から芹生峠までは35分ほどで登る。(内、撮影回数4回)

京北町の山道だから覚悟していたんですが、上記の理由と相まって意外にキレイで驚いた。
京北町がこれほどの軽快路であるのだから、さぞ京都市左京区はキレイだろう…という甘い考えを抱き、一気に下って行ったのでありましたが…
路面・幅員・勾配共に貧弱極まりない、哀れすぎる道路だったのだ
道路で重要の3原則全てに於いて異常だったのである。

まず路面はほぼ凹凸の連続。アスファルトも欠け削られており、石もごろごろ。タイヤに1週間分の仕事をさせた感じである。
しかもその上カーブが非常にきつく、180度カーブが連続していたところを通ったのには驚いた。
そんな形状で、なんとまぁ全て10%を越えるという激坂であった。こういったところが腐道ぶりを醸し出しているのかもしれない。

幅員はというと、私の前を一台の乗用車が通っていたが、もう両側の茂み擦れ擦れで走っていた。
クラウンとかそういった大型セダンだとかなり厳しいと思われる。


なお、その場所の写真は残念ながら撮らなかった…てか撮れなかった。疲れもあったが、本当に怖かったので…(^^;)
うーん、R477よりここの方が凄かった。…これは思わぬ収穫…いや災難であったわい。次回機会があれば撮りたいと思います。

しかしまあ何で京北町の道より県庁所在地の道の方が悪いんだっての…


結論:
R477大原〜r361貴船町 間の道は、京北町より京都市の路面形状の悪さが目立った。
『政令指定都市の国道』と聞けば、まず大半の方が優れた道路だと思われるはず。
しかしこのR477はそういった常識が全く通用せず、良い意味で期待を裏切ってくれる酷道である。

なお、初心者の方はこないほうがいいです。軽自動車であれば何とかなりそうですが、普通乗用以上のクラスだとちょっとキツイです。
特に百井別れの180度ターンは厳重注意が必要です。